文系大学院博士課程へ進学した友人たちの就職先は?9人の修了後の進路を訊いてみました
大学時代の夫婦共通の友人で、文学系大学院の博士課程に進学したやまだごろうさん(仮名)から、久しぶりに連絡が来ました。「つらいです」と。
厳密に言うと辛いとは書かれてはいなかったのですが、メールの文面から彼の辛さがにじみ出ていました。
大学院に進学する人は珍しくはありませんが、文系の、それも博士課程へ進むとなると、それなりの覚悟がいると思います。
理系の修士課程であれば、教授の推薦やらで結構いい企業などに就職できたという話も聞きくのですが。
文系だとどうなんだろう?友達や先輩は、一体どうなったのだろうか・・・
という非常に下世話で大きなお世話な記事になります。
法律学、政治学、文化人類学、心理学、文学の博士課程に進学した、高校・大学時代の友人たちの進路について、プライバシーに触れないためにフェイクも多少交えつつ紹介します。
大学院の入試に必須の英語のスキル、彼らのすごいなと思うところ、博士課程修了後の進路について、という3つの観点からみていきます。
- 法律・政治系大学院博士課程に進学した2人の進路
- 文化人類学系大学院博士課程に進学した2人の進路
- 心理学系大学院博士課程に進学した1人の進路
- 文学系大学院博士課程に進学した4人の進路
- 文系大学院でも専攻によって如実に違いがある
- アラサー、他の人の動向が気になるお年頃
法律・政治系大学院博士課程に進学した2人の進路
法律学、政治学を専攻した、男性2人のその後の進路についてです。
A君:30代後半、政治学専攻
やまだごろうさんのマブダチで、私も何かとお世話になった有能なA君です。
学びたい教授がいるからと、とびきりいい大学からわざわざうちの大学院へやってきました。
外部からの進学だけれども、あっという間に多数の友人と美人の彼女を作ったリア充。
博士論文執筆のために、海外へも渡っています。自分の論文を書きつつも、畑違いの分野の彼女の博論も手伝ってあげられる切れ者。
こんなに怖くなるくらい頭が切れて、人の心の奥まで見通すことが出来る人はちょっといないんじゃないだろうか。
A君の英語のスキル
大学在学中に留学経験があり英語が堪能。読むほうも話す方もできる。
A君のここがすごい
論文ごとに結果を出せる。教授からも一目置かれていた。
男性にしては(というとアレですが)、人の心の機微がわかり、女性的なものの見方もできる人です。
A君のその後の進路
現在は某大学の准教授。最近は、「助教授」って言わないんですね。A君なら、きっと教授まで上り詰めると思う。
B君:アラサー、法学専攻
私はそこまでB君と話したことはなかったけれど、とにかく秀才で有名でした。
それも、勉強ばっかりやってますというタイプではなく、運動系のサークルに所属しバイトもこなす、本当に普通の好青年。実家は自営で裕福らしい。
B君の英語のスキル
読む方は完璧。話す方もできるだろうけれど、輪を掛けてリーディングが得意。
B君のここがすごい
当たり前のことを当たり前に頑張って、真っ当に成功していくところがすごい。
B君のその後の進路
博士課程修了後、講師などを経て、現在は某大学の准教授。
この年齢で准教授というのがまた・・・学内の派閥争い(?)なんかに巻き込まれませんようにと、余計なお世話ですが思います。
文化人類学系大学院博士課程に進学した2人の進路
文化人類学は・・・民俗学とか、民族学とか、考古学とか、社会言語学などの学問です。
人の生活文化にまつわる学問の総称ですかね。
Cちゃん:アラサー、民俗学専攻
スタイルの良いクール系の美女。足が細くて超きれい。
ちょっとアブナイ発言をするけれど、それをものともしない男性たちからとても人気がある。
恐いとおそれられている教授に、漫画を貸して仲良くなった強者。
Cちゃんの英語のスキル
院試を突破できる英語力はあるが、スピーキングは苦手。
Cちゃんのここがすごい
研究もしっかりやりつつ、プライベートも手を抜かない。服もオシャレ。
いつ寝ているんだろうと思うスケジュールでも、常に元気なところがすごい。
Cちゃんのその後の進路
現在は某博物館の学芸員。狭き門をくぐり抜けた才女でございます。
Dちゃん:アラサー、考古学専攻
ほんわかしたかわいい女性。本当に普通の常識的な女の子という感じですが、すごい研究者のDちゃん。
Dちゃんの英語のスキル
Cちゃんと同じで、院試を突破できる英語力はあるが、スピーキングは苦手。
Dちゃんのここがすごい
大学院生になると、優れた研究をする人は助成金がもらえます。彼女は、その研究助成費を受けていました。
理系の研究に対して助成金を貰っているケースは聞くけれど、文系で貰えるって相当凄いと思う。
Dちゃんのその後の進路
博士課程修了後、博物館の学芸員として勤務。
学芸員に応募するには、「修士」以上が必要になるといった流れもあるようですね。いずれにしても、狭き門です。
心理学系大学院博士課程に進学した1人の進路
心理学系の大学院では、「臨床心理士」の受験資格を得ることができます。
そんな仕事があるなんて、私は河合隼雄さんの本を読むまで知らなかった。今更ですがとても興味があります。
心理学系の大学院は、社会人の人にも人気があるのかなと思います。
Eちゃん:アラサー、心理学専攻
大学の学部時代の成績はトップだったEちゃん。努力家で秀才型。芯は強いけれどどこか不安定さもある。
Eちゃんの英語のスキル
英語は、リーディングはそこそこ。スピーキングはNG。
Eちゃんのここがすごい
ずーっと勉強していられる。ずーっと研究していられる。生来の研究肌?
Eちゃんのその後の進路
現在は、カウンセリングもやりつつ、大学の非常勤講師を勤めて教壇にも立つ。
Eちゃんは、カウンセリングよりも、学問としての心理学を究めたい模様。
文学系大学院博士課程に進学した4人の進路
文学系の大学院博士課程に進学した女性2人、男性2人の進路です。私は文学専攻だったので、直接お世話になった先輩もいます。
F先輩:30代後半、アメリカ文学専攻
実家が古くからの名家で由緒あるお家柄。
やまだごろうさんがF先輩に懸想していて、何度かデートをしたが玉砕。(この情報は別に要らなかったですね)
F先輩の英語のスキル
米文学専攻なので英語が堪能。特に留学経験はないものの、海外からの留学生とも苦も無く英語で会話できる。
F先輩のここがすごい
育ちの良さがにじみ出るF先輩。
文学の授業での喧々諤々の議論では、一歩引いているような所もあったけれど、とても後輩の面倒見の良い人でした。
F先輩のその後の進路
いくつかの大学の英語の非常勤講師を勤めたのち、現在は某大学の英語教育関連の准教授。
あんなにお人好しで優しかった先輩が准教授なんて・・・。しかし、面倒見がよいので「先生」としては最高だと思います。
G先輩:30代後半、イギリス文学専攻
イギリスの大学へ進学して4年間学んだG先輩。大学院から日本に戻ってきました。
G先輩の英語のスキル
当然英語は堪能。
G先輩のここがすごい
母語が英語なんじゃないかというくらい堪能(逆に言うと日本語がちょっと怪しい)
G先輩のその後の進路
こちらも大学の英語の非常勤講師を転々として、現在は某大学の英語の講師を勤める。
Hちゃん:アラサー、フランス文学専攻
明るく社交的で酒が大好き。専攻の違う私のことも、しばしば飲みに誘ってくれました。
Hちゃんの英語のスキル
読むほうはかなりできる。話す方もそこそこできる。フランス語も独学で結構なレベルに達していた。
Hちゃんのここがすごい
50代の教授に、娘のように可愛がられていた。年上の人に可愛がられる才能がすごい。
Hちゃんのその後の進路
博士課程を全うすることなく、修士課程修了時に大学院を辞めてしまったHちゃん。
当時、本人から詳しいことはあまり聞けなかったけれど、かなり将来について葛藤を抱えていたようでした。
現在は、民間の英会話教室の講師をしています。
やまだごろうさん(仮名):アラサー、日本文学専攻
ごろうさんは、歩く情報屋でコミュ力おばけです。「一度喋ればお前は友達」みたいな。
ごろうさんの英語のスキル
ごろうさんは、スピーキングはそこそこ。リーディングは・・・不得意。
ごろうさんのここがすごい
院試の時も、伝手をたどって、先輩に勉強を見て貰ったりして乗り切ったごろうさん。
とにかく人と絡んでいく才能がすごい。
ごろうさんのその後の進路
ごろうさんは、いわゆるポスドク(ポストドクター)として、院に残って研究を続けています。
本人の理想と、ままならない現実のギャップに「つらい」と思うこともあるのかなと、勝手に想像しています。
ごろうさんほどコミュニケーション能力があれば、もっと別の分野でも成功できそうなのですが。
文系大学院でも専攻によって如実に違いがある
文系大学院とひとくくりにしていましたが、専攻によってその後の進路に違いが出るものだなと感じました。
法律学・政治学専攻は二人とも若くして出世
法律・政治系の院に進んだ二人は、どちらも若くして准教授になっていました。
もちろん彼らが優秀だからなのでしょうが、他の文系の大学院に進んだ場合よりも、チャンスが多いような印象があります。
文化人類学専攻は学芸員資格を取る人が多いのか!?
文化人類学を専攻している2人は、大学生の時点で「学芸員」の資格も取得していました。
そうすると、博物館や美術館などへ勤めるという選択肢が取れますね。滅茶苦茶狭き門ですが、それをくぐり抜けたのがすごい。
国家資格「公認心理師」が誕生し、心理学の院も人気になる!?
2018年に国家資格の「公認心理師」が誕生しました。
心理学系の大学院を「修了」していることも、受験資格となるので、院に進む人も増えるんじゃないかなと想像します。
でも、「修了」だから、2年間なんですよね。5年間も行くEちゃんのような人は、まだ珍しいままでしょうかね。
文学専攻が身を立てるには英語が必須!?
文学専攻の場合は、まず英語ができないと話にならないんじゃないのかと恐怖を覚えました。
紹介した4人のうち、3人は英語がかなりできますし。
「文学研究」だけで食べていくことは、難しいのかなとは思います。
英語が堪能であれば、英語の非常勤講師などをしながら、自分の文学研究をしていくというスタイルが取れるんでしょうかね。でも厳しい。
アラサー、他の人の動向が気になるお年頃
最近、友人たちの動向が気になってこの記事を書きました。
自分が今惑っているから、他の人がどうしているのか気になるんだと思います。
会社勤めには会社勤めの大変さがあるし、研究者には研究者の大変さがある筈ですが、「文系の博士課程」へ進むとなると、有名な民間企業への「就職」という道はほぼ断たれることを、覚悟しなければなりません。
でも、紹介した友人たちは「覚悟」なんてしてないのかなとも感じました。好きだからその道に進んだだよと、彼らは言う気がします。
フリーランスになった友人たちの話を聞いた時もそうでしたが、彼らがとてもまぶしいです☟
ライフワークを見つけた人たちは、どうしてあんなに輝いているのだろうか。