交際1ヶ月で訪れた最初の破局危機!安壊の関係夫婦の危機
安壊の関係の二人はなんだかんだで付き合うことになったのですが、彼女は彼氏に対して「こんな人間だったのか」という戸惑いを感じます。
登場人物
妻:ふ美子(ふみこ)
安壊の関係の「安」にあたる。「壊」にあたるマ神を振り回して疲れさせる。好きなケーキはザッハトルテ。
夫:マ神(ましん)
安壊の関係の「壊」にあたる。「安」にあたるふ美子に振り回されて消耗する。好きなケーキはチーズケーキ。
パン工場ケーキ屋のおじさん
マ神とふ美子が、クリスマスに一緒に食べようと予約したケーキ屋のおじさん。
彼氏が全く思ったような人間ではなかった
友人の暗躍により交際をスタートさせたふ美子とマ神。しかし、マ神はふ美子が思っていたような性格の人間ではありませんでした。
最初の危機は、案外早く訪れました。
クリスマス間近の12月のある日、ふ美子たち大学4年生は卒論の締切に追われていました。提出は年明けすぐです。
寝不足の頭で考えるのは、卒論のこと、四月からの就職先のこと、そして付き合い始めたマ神のこと。
ふ美子は疲れていました。この時期の同級生たちも、すべからく疲れています。その疲れや焦りと馴れ合いつつ、みんな頑張っているのです。
「もう疲れた」と彼氏にぶちまけてしまう
でも、ふ美子はその気持ちを自分でどうにかできませんでした。図書館で偶然会ったマ神に、「もう私、疲れた。色々全部疲れた。全部。もう嫌だ。」と言ってしまいました。
ふ美子の様子をみてマ神は、「・・・疲れたっていうのは、卒論のこと?・・・それとも、俺のこと?」と尋ねました。「・・・うん」というふ美子の顔を見て、マ神は察したようでした。
普段、動揺が表に出ないマ神の顔が強張り、血の気が引いて青白くなっていきました。
ふ美子は、しまったと思いました。ごめんと言ったふ美子に、ごめんと言い返してマ神は去って行きました。
取り返しのつかないことをしてしまったと悔やむ彼女
ふ美子は、一人取り残されて、自分が取り返しのつかないことをしたのではないかと慄きました。
ふ美子は、一体何に疲れたというのでしょうか。
- 書いても書いても終わらない卒論に疲れた
- マ神の意外なテンションに合わせるのに疲れた
- 翌年4月からの仕事へ不安を感じすぎて疲れた
- 人付き合いが苦手なので、そもそも人と交際するのに疲れた
- 忙しい時期に恋人のことを考えて気を遣うのに疲れた
- 入社前に取得が必要な資格の勉強に疲れた
半分以上は八つ当たりですね。マ神と関係のない話です。あとの半分は、そもそも交際の始まり方が気に食わず、マ神が繰り出す陽気なボケについていけなくなったことが原因です。
クリスマスイブには、予約したケーキを受け取って部屋で食べることにしていました。二人で予約しに行ったのに、あの時はこんなことになるとは思ってもみなかったのに。
クリスマスはもうすぐそこです。ふ美子は、マ神へ何度かメールを送りましたがはかばかしい返事は返ってきませんでした。
クリスマス当日。ふ美子がお昼ごろアパートのドアを開けると、ドアノブにクリスマスケーキの入った袋が引っかかっていました。袋の中には、手紙も一緒に入っていました。
ふ美子は、ためらわずマ神に電話しました。必死だったのでよく覚えていないのですが、ありがとうごめんなさいごめんなさいをひたすら繰り返していた筈です。
かくして、マ神に許されたふ美子は、無事に(?と言っていいのかどうか)二人でケーキを食べてクリスマスイブを迎えることが出来ました。
予約したケーキを受け取りに行ったマ神
ケーキ屋のおじさんも暗い顔をした若者がケーキを取りに来て、困惑した事でしょう。それともクリスマスにはよくある光景なのだろうか。
ふ美子は、この最初の危機を思い出すと、今でも暗い気持ちになります。別れることになるかと思ったのに、首の皮一枚でつながりました。
恋愛を含む人付き合いのスキルに乏しいふ美子ですが、このままでは未来はないと思いました。そして、友達と恋人は違うのだとも。
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